【予備知識その1】
水中で活動するメカニズムをひっくるめて、まぁ一般的には「潜水艦」と言っちゃうわけですが、こうした水中メカにも有人・無人、さらには遠隔操作か自律かといった分類が存在します。
(潜水「艦」だと軍用になっちゃうので民間では潜水「船」、、、なんてのは言葉遊びみたいなもんで(^^;)
さて、その『無人』で「遠隔操作」する潜水機はROV(アール・オー・ブイ:Remotely Operated Vehicle)と呼ばれておりまして、日本だとJAMSTECの「ハイパードルフィン」などが有名ですね。
試しに「ROV」で画像検索すると、様々なROVの姿を見ることができますよ。
基本的には深海という悪条件化で作業するための実用機械なので、頑丈な金属フレームの上部に浮力体、機器類をその下に配置するといったシンプルなレイアウトが多く、デザイン的には似たり寄ったりになってしまうのは致し方ないですね~。
推進方法はスラスターを最低3基装備して、前後左右と上下の動きをコントロールします。
操縦は主にケーブルで、搭載したカメラの画像を見ながら行います。(ただし有線じゃなきゃいけないという決まりはありません)
※ちなみに「自律航行」するロボットのようなタイプはAUV(エー・ユー・ブイ:Autonomous Underwater Vehicle)と言います。同じくJAMSTECの「うらしま」が有名。
【予備知識その2】
コトの発端は2011年9月、AMM(アクアモデラーズミーティング)に平尾モデルの平尾さんが持ってきたコレでした。
細い塩ビパイプでフレームを作り、受信機やバッテリーを内蔵した太目の塩ビパイプと、同じく塩ビパイプで作ったスラスターを固定しただけなのに、なんだかソレっぽくてかっこいいじゃないですか!
この時点では試作段階ということでしたが、すでに水中を自由に動き回っておりました。(のちに水中ロボコンの高校生向けキットに進化します)
その後、刺激を受けたメンバーによって新型が続々とデビュー。
2012年3月撮影 今江科学さん作
2013年10月撮影 平尾さんによる小型バージョン
2014年3月撮影 yoshiさんの「OVEN10(おべんとう)」
2014年6月撮影 かめきちさん作(沈潜回収船に進化中。4スラスター!)
2014年11月撮影 YDDockさんの水中撮影用メカ「C-Dock」
まさに百花繚乱!
【予備知識その3】
当然ながらワタクシも平尾版ROVの影響を受けております。
2011年11月に潜水Qの防水ケースを塩ビパイプで作り直したのもそーですね。
その後「塩ビ艦」としてフレームの無い直管タイプのモノを作ったりしていましたが、決して3スラスターのROVに興味が無かったわけではないのです。
妄想だけならパイプを2本前後に配置し、その間に垂直スラスターを入れるとか、yoshiさんのようにお弁当箱とパイプフレームを組み合わせたコンパクトタイプを考えていました。
問題は3スラスター、、、3個のモーターを動かすためには当然3個のアンプ(ESC)が必要になるわけでして、慢性金欠の私にはそれがなかなか用意できなかったのです(^^;
そんな折、AMMでブラシモーター用でバック付きの格安防水アンプの存在を知り、久しぶりに立ち寄ったラジコン屋で見かけてまとめて購入してしまいました!
HOBBYWINGの「QUICRUN1060」1個2600円弱(税込)
ブレーキ無しでバックに入れるので、ROVにはピッタリです。
これが無ければ次の工作には進まなかったでしょうね~。
この時点で2014年の12月13日。
【やっと本題:工作開始】
さて、アンプは必要数揃いましたが、一体全体どのように配線すればいいのかは未経験。
ググって調べてまずは実験。
3個のうち2個は受信機電源(BEC)用のコネクタを外して(真ん中の赤い線)受信機に接続し、電源は+-をまとめてバッテリーにつなぐようにしました。
BECを外した2個のアンプのスイッチはONのままで固定し、無改造のアンプのスイッチで受信機の電源が入るようにしています。
バッテリーをつなぐと2個のアンプがセルフチェックを始めてピー。スイッチを入れると3個目もピーと鳴ってから、3台同時にチェック完了のピピッが鳴ります。
※当初は24MHzの3ch受信機を使っていたのですが、最後の「ピピッ」が鳴らず、モーターも動かずかなり焦りました。「アンプ壊れた?不良品?交換?」
どうもアンプと受信機の相性の問題だったようで、40MHzの6ch受信機に変えたら何事もなかったかのように動作したので一安心でしたが、送信機と交信しての自動調整機能がうまく働かなったのかなぁ※
3個のモーターはあっさり動きました。ほっ。
【スラスター工作】
実はこの時点ではまだパイプフレームをどのような形にするか決めておらず、先にスラスターをなんとかします。
左右用の2個は、以前灯油ポンプのモーターを鈴商RC-280RAに換装していたものがあったのでそれを、上下用は鈴商RC-280SA(RAより高電圧、高回転型。50円高い)をお試しで買っていたので、防水ケースをプラ板で作ってそれらしくしてみました。
途中写真ではプラ板が四角いですが、接着してから不要部分を削り整形。隙間にはシール剤(スーパーシール)を塗り込んであります。
スクリュー左右用はミニ四駆のエアロホイール(絶版)を延長軸で接続
上下用は大昔に買って残骸だけ残っていた潜水艦おもちゃのペラをシュラウドごと流用。まさかこんな形で使う日が来ようとは(^^;
【そして年末へ】
年末休みに入り、ホームセンターへの買い出しついでに塩ビパイプを購入。
最初は四角い枠をいくつか作って、それを組み合わせて、、、と考えていたのですが、パイプを壁に固定する樹脂パーツのようなものが見当たらず、代わりに買った金属のプレス品はサイズを間違え、最下段用の錘入り四角枠を一つ作った時点でやり直し。
12月31日、家の用事が終わってから改めて継手や必要なパイプを買ってきました。イメージはお弁当箱をパイプフレームが取り囲む感じです。
紅白見ながらちょいちょいと組み合わせて出来上がったのがこんな代物。
あれ?ちょっと大きい??
お弁当箱の真下に垂直スラスターを取り付けるので背が高くなるのは当然なのですが、なんかちょっと違~う。もっとコンパクトにしたかったんじゃないの?
【正月の工作】
写真をアップしておいたら、新年早々mixiで「簡易便器か?」と言われてしまいやる気ダウン。そうそう、なんなく感じていた違和感はそれだったのか?
そして・・・いつそれを思いついたのか記憶が定かでないのですが、ここで大幅な方針転換を図ります。たぶんホムセンの塩ビパイプ売場で物色している最中だったんじゃないかなぁ。
1月2日に来客があり、夕方送って行ったその足でまたもやホムセンに向かいました。
買ってきたのは内径50mmと太めのタイプ。パーツも少なめです。
これが
1月3日の夕方にはこうなりました。
全長はいつもAMM時に使っている折り畳みコンテナに横向きでピッタリ入ります。
胴体の真ん中に開いた穴に垂直スラスターが入るので全高もかなり抑えられます。
双胴船ですが内部でつながっているので、右にバッテリー左に受信機、アンプを配置してもケーブルの接続が簡単。
※ちなみに接着剤は使っておらず圧入のみ。隙間にはシール剤を塗り込んでいます。
あとはアルミフレームで作ったスキッドを取り付けてから、スラスターを固定して配線すればほぼ完成じゃないですか。
あぁ、思い付きから完成までのタイムスパンが短いのが塩ビ管工作のメリットですな。
当初思い描いていたものとはだいぶ違った姿になりましたが、やりたいことはこれで十分可能です。
【1月18日横浜市民プール】
AMM根岸で進水。
浮力バランス調整や送信機のミキシングが終わっていませんでしたが、動力性能を見るため進水式を執り行いました(^^;
バラストは300gほど追加すればほぼ中性浮力。この時点では潜れませんでしたが、垂直スラスターからはけっこうな水流が流れ出ます。懸案のミニ四駆のホイール流用スクリューでもちゃんと前進することが確認できたのでこちらも問題なさそうです。
帰宅後、バッテリーを新しくしたので旧バッテリーとの重さの違いを調整したり、送信機をVテールミキシングモードにして、スティック1本で2個のモーターをコントロールできるようにしたりして完成!
本格デビューは次の追浜AMMを予定しています。
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