二つ目の誘惑(再録)
サーバ引っ越しの際に手違いで消えてしまった、以前会社のブログに書いた記事を再構築するプロジェクトの第4弾。
今回は2007年1月から2月にかけて書かれた「デジカメ2台で3D写真を撮る」話のまとめです。
冒頭の「先日ネタにしたステレオカメラ」とは、大人の科学マガジン付録のコレです。
最近は「3D元年」などと言われて立体映像のブーム(?)になっていますが、いつまで続くのやら…
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先日ステレオカメラのことをネタにしたが、そのせいかこの数日ステレオ写真のことが頭から離れなくなってしまった。
1990年代初めにCGで作る立体画像や裸眼立体視(脳内リゾート)が話題になって、同時にステレオ写真も関連書籍が何冊も出るほどのブームがあったし、最近はデジタルカメラがこれだけ進化して価格も安くなっているのだから、デジタルのステレオ(立体)写真愛好家が増えているに違いない!と、期待してしまったのだ。
ところがネットをうろうろしてみたものの、どうやら思ったほどでもないらしい。アマゾンで「ステレオ」を検索しても出てくるのはAV関連本ばかり。赤瀬川原平氏の名著「二つ目の哲学」は絶版ですか!
もちろん積極的に活動されている方もたくさんいらっしゃるのだが、往年の「脳内リゾート開発事業団」の公式HPがあるわけでもなく、愛好家のサイトでもコンテンツが更新されなくなって久しい所が多いようだ。特に2000年以降、デジカメの普及とともに落ち込んでいるような気がしてならない。
パッと見の印象では、ピンホールカメラ関連サイトの方が元気が良いように思える。
コレはどうしたことだ!「カメラを2台用意する」「自作する」といったことが敬遠されているのだろうか。自作が必要なのはピンホールカメラも同じなのだが。
「立体に見える」「臨場感がある」が飽きられてしまったのだろうか。バブル経済崩壊とともに脳内リゾートも経営不振に陥ってしまったのか!?
そんなわけで、ステレオ写真を撮る楽しみ、又は面白いステレオ写真を作ることを改めて実体験してみることにする。
カメラ1台での簡易撮影(左右に移動して2枚撮影することでステレオ写真を得る。撮影できるのは静物のみ)は経験済みなので、今度はカメラを2台並べた物を自作してみようと思う。
ただ、新たに2台買いそろえるのは大変なので、手持ちのデジカメから似たような性能を持ったものを選び出してきた。
両方とも6年ほど前に買ったニコンのCOOLPIXで、左が950、右が2000。ともに210万画素で3倍ズーム。画質は2000の方はかなり悪いが、その辺はレタッチで修正するとして、とりあえず合体して実験してみよう。
・・・と思って作業を開始した矢先、「使ってない950があるから上げるよ。え?ちゃんと撮れるよ。ただ内蔵電池がダメになってて、電池を抜くと日付などの設定が飛んじゃうけど」との嬉しいお言葉を頂きまして、近々受け取ることになっています。実験結果は(その2)までしばらくお待ち下さい。
二つ目の誘惑(その2)
ステレオ(立体)写真が撮れるデジタルカメラというと、一眼レフカメラ用のアクセサリーであるPENTAXの「ステレオアダプターDセット」ぐらいしか選択肢がないと思っていたのだが、同じPENTAXでこんな物を出していたんですね。
地上写真測量用ステレオカメラ「 PENTAX ST-120D 」
うーむ、測距儀のデジタル版といったところでしょうか。以前は乾板(フィルムのベースがプラスチックではなくてガラス)だったというのもビックリ。業務用写真の世界は奥が深いです。
普通のデジカメとは違いますが、ロボット用のセンサーとしてデジタルステレオカメラは存在しているようです。
また、シャープからは専用眼鏡を使わなくても立体表示ができる液晶ディスプレイが発売されていますが…。
残念!現在のモデルにはラインナップされていないようです(そう言えば3D携帯なんてのもありましたよね)。ステレオ映像はイベント向きなんでしょうかねぇ。
さて前回の続き。「あげる」と言われたNikonのCOOLPIX950をようやく頂いてきまして、2台並べて簡易ステレオカメラを作ってみました。
やはり同じ機種2台の方が扱いやすいですね。
もっとも「作った」と言ってもホルダーにネジで固定しただけ。左右のカメラのシャッターは、両手で同時に押すだけのお手軽さです。
もちろん横向きに並べることもできますが、レンズの間隔が広くなってしまうので、液晶モニターの見にくさを考えなければ縦型の方がなにかと楽です。950はレンズの横に光学ファインダーがあるので、撮影するときはそこを使います。
欠点はしいて上げればせっかくズームレンズが付いているのに、左右のズーム比を合わせられないということ。フォトショップであとから調整できるものの、大きさ合わせはちと面倒くさい。現状では最大望遠か最大広角のどちらかで撮影することにしてます。
では、手元にある物を集めてテスト撮影なぞ。
裸眼立体視のできる方は平行法でご覧下さい。
う~ん、この「裸眼立体視」をできる人とできない人がいるということが、ステレオ写真がメジャーになりきれない理由だろうか。欧米では専用ビュワーを使うのが普通だというし…。
さて、撮影していて分かったのですが、近くの物を撮るときは注意しないと右のカメラには写っている物が左には全く写っていないことがあるんですね。接写用ステレオカメラの左右のレンズがくっついてる理由が体感できましたわ。
これは最大広角で撮影した画像から、フォトショップで切り出してならべています。
同じく平行法でご覧下さい。
このテスト写真は以前紹介したイリュージョンドラゴン。これをわざわざステレオ写真で見ると、目玉をだましていたものがさらにだまされて、かなり妙な感覚になります。
最初のテスト写真を昔懐かしの赤青立体画像(アナグリフ)に変換してみました。右に青、左に赤のセロハンを張った眼鏡で見ると立体に見えるはずです。
(ツールは「アナグリフメーカー」を使用しています)
どうでしょう?デジカメさえ(できれば2台)あれば、あとはフリーウェアを組み合わせて簡単に楽しめるんじゃないでしょうか。もちろん簡単ではない部分もありますし、ある程度の勉強も必要ですが、それは「遊び」には必要な要素でしょう。
もっとおバカな遊び方を追求してみたいと思います。
二つ目の誘惑(その3)
ステレオ写真工作の続き。
「その2」では市販のホルダーを用いてカメラを2台縦並びに繋ぎ、簡易ステレオカメラとして遊んでみたのですが、どうもあのやり方だと左右の写真の傾きが狂いやすかったり、カメラの機能設定などがやりにくいことが分かったので、もうちょっと工夫してみることにしました。
もちろんもっと長い金具を利用して横並びにすることも考えられるのだが、それだと当たり前すぎて面白くないので、一工夫してみたのが以下のカタチ。
カメラを底合わせにしてみました。
その昔、「写ルンです」を使ってステレオ写真を撮る方法が紹介されたときはこのようなカタチで輪ゴムで固定していましたが、ネジ止めになっているだけでやってることは同じです。
固定する手製ホルダーがコンパクトなことが特長。
止めネジは向かい合わせになっているので、カメラにホルダーを固定する時はこのように開いて行います。簡単でしょ?
小さいので持ち歩きにも便利。
もちろん精度的には今ひとつですが、多少のずれはフォトレタッチソフトでいくらでも修正できるのがデジタルの利点。
遅ればせながら、2枚のデジタル写真を簡単に修正してステレオ写真を作ってくれるソフトも発見したので、次回ご紹介しましょう。
というわけで作例。どっかで見たような風景です。
平行法でご覧下さい。
遠景なのであまり飛び出して見えませんが、テスト撮影ということで失礼。
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おまけ的に…
かつてフジフィルムから出ていた「写るんです」用のステレオアダプターを、無理やりデジカメに取り付けて撮影したときのようすがこちら。
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